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大会長講演

座長 玉井 浩(大阪医科薬科大学名誉教授、日本ダウン症学会前理事長)

第6回日本ダウン症学会学術集会 大会長 沼部 博直(東京都立北療育医療センター小児科)

望めば叶う時代に

 1984年に小児科医としての人生を歩み始めて以来,ダウン症候群のある小児の診療は当たり前のように私の日常診療のルーチンのひとつとなっています.ただ,40年前にはダウン症候群の医療に関しての医学的情報は,診断に関する情報は豊富ではあったものの,治療やフォローアップに関しての情報は乏しい状況でした.

 今世紀に入り,ダウン症候群の早期診断がさまざまな手法によって可能となる中,当時,医療者の中で議論されたのが,ご家族にいつ,どのような形でお子さんがダウン症候群であるという結果の開示を行うか?という問題です.出産直後の母親にダウン症候群の診断でショックを与えるのは,母子の愛着形成にも有害であり,診断は1〜2カ月後とするのが適切であるという意見も多い時期でした.

 そもそも,検査を行わないと診断が確定しないわけですので,事前に,お子さんがダウン症候群である可能性があること,検査を行う必要があること,検査を受けることのメリットとデメリット,検査を受けないことによるメリットとデメリットなどを丁寧に説明し,理解していただく必要があります.これは,今でいう遺伝カウンセリングのプロセスのひとつで,家族の心理状態にも配慮して行われます.

 病気の発症から治癒もしくは死亡までの間の連続した変化を指す言葉として「自然歴」というものがあります.この自然歴に関する情報の提供も重要です.ダウン症候群に限らず,染色体の変化を伴う疾患のあるお子さんをお持ちのご家族への調査では,これらを含めた早期の遺伝カウンセリングを希望する声が多数でした.

 ダウン症候群に関する情報は,医療のみならず,保育,教育,福祉,就労など幅広い分野で着実に増えてきており,ダウン症候群のある方の個性に合わせた実践が実現されつつあり,望んだことが叶う時代に入りました.是非とも皆様には夢を語っていただきたいと思います.